八ヶ岳のアルパインルートは厳冬期のメージが強いですね
その理由の一つは、八ヶ岳がもろい岩質で構成されていることにあります
そのままではクラミングを行う場所としては適していないのです
しかしながら、厳冬期になると凍り付くことで岩同士が固定されて安定化します
そこで、クライミングも可能になるわけですね
実は、無雪期でも八ヶ岳でアルパインクライミングができるルートはあります
その代表例が、大同心雲稜ルートそして、今回紹介する小同心クラックです
良いところ
小同心クラックでのクライミングの良さは次の点です
無雪期の八ヶ岳アルパインクライミング
3000m直下で爽快
3ピッチと短くて時間的、体力的に手軽
つかめるホールドが大きい
すこしネガティブな点としては、
日帰りは可能ですが、取り付きまでのアプローチは遠いのが難点です
浮き石があるので注意して登攀する必要があります
アクセス
駐車場は次の2か所を利用することができます
■駐車場 その1
八ヶ岳山荘
■駐車場 その2
赤岳山荘
アプローチが1時間弱ほど短縮できるメリットがあります
ただし
夏でも急坂や凹凸のある林道を通るため車高がある4WD車が無難です
駐車台数があまり多くないうえ、満車なのかは行ってみないとわからないです
アプローチ
日帰りでは、八ヶ岳山荘から小同心取り付きまでは5時間ほど見込んでおきましょう
(途中の休憩や、登攀装備の準備の時間を含めてです)
八ヶ岳山荘 50分 赤岳山荘 180分 赤岳鉱泉 60分 大同心の取り付き 30分 小同心の取り付き
■赤岳鉱泉から大同心
硫黄岳方面に進み、最初の未知の境界を示すロープが張られているところをロープをくぐって入ります
踏み跡はしっかりしています
大同心までは勾配の強い急登を直登することになります
小一時間ほどで硫黄岳を背後にそびえる大同心とその取り付きが見えます
■大同心から小同心取り付きへ
大同心を回り込むように少し上り先へ進む道があります
続いて小同心の下をトラバースしてゆきます
このとき、つい上りすぎてしまうと進退窮まるので注意してください
よくみると少し先の踏み跡がみえますので、確認しながら進みましょう
少し広いテラスにでると、そこが小同心の取り付きです
小同心クラックのマルチピッチクライミング
3ピッチのマルチピッチです
3ピッチ後も横岳頂上に登る際にも軽い1ピッチのクライミングがあります
さて名称に「クラック」がついていますが、実際は半チムニーをゆくルートです
全般を通じてつかみやすいガバホールドが豊富ですので、しっかり登ることができます
中間支点をとるボルトハンガーが要所要所にありますのでカムがなくてもゆけるでしょう (私は1カ所カムを使用しましたけど)
1ピッチ目 40m
前半はフェイス、後半は半チムニーを登ります
2ピッチ目 35m
つづく半チムニーに沿って上がってゆきます
チムニーにはまり込むように登るのでザックが引っかかってしまうこともあります
すっきりとしたアルパインザックは、引っかかりが少なくて適していますね
チムニーの中を進むようにしてください
終了点近くでチムニーから外れてフェイス側の登ると中間支点がとれず難易度が一気に高まりますので、注意してくださいね
3ピッチ目 15m
序盤はチムニー、後半はフェイスです
終了点のクライマーからの声がビレイ地点では聞こえづらいです
せり出ている岩のせいで声が通らないためです
(マルチピッチクライミングにありがちで、困ることが多々あります)
こんな時は、無線機があれば便利です
IC-DPR7(ICOM) デジタル簡易無線機
総務局で登録すればだれでも使用できます
安価で登録不要なトランシーバーよりもはるかに高出力5Wで、防水・防塵性能を備えているため山岳での使用にも向いているでしょう
横岳直下から山頂へ
小同心の頭から小さな稜線のようなところを歩いてゆきます
横岳直下はフリーでも登れますが、ロープで確保したほうが安全でしょう
登ると横岳山頂にでます
下山は、硫黄岳経由、赤岳鉱泉が一般的のようです
大同心ルンゼ源頭の階段状岩場をクライムダウンまたは懸垂下降して大同心稜から降りることできます
我々は地蔵尾根から行者小屋へおりました
登攀具
- 50m ハーフロープ
- アルパインヌンチャク5本
- (カム) 使わない可能性が高いですが、念のため持っておくとよいでしょう
まとめ
9月下旬ではすでに寒さを感じるほどで下界の残暑とは対照的です
アプローチこそ遠いですが、
3ピッチのマルチピッチクライミングを3000m直下でできるのは爽快です
クライミング自体のグレードは高くありませんが、準備をしている方同士で安全を心がけて楽しんでみてはいかがでしょうか