マルチピッチ用クラミングシューズの特性
これを読めば、あなたのマルチピッチクライミング用シューズを選ぶことができるようになります
マルチピッチクラミングで使用するシューズは、ジムで使用するシューズとは性格が異なってきます
ジムのボルダリング用はやわらかい素材で足をタイトに締め上げるサポータのようにして足の強度を高める役割をしているように感じます
一方でマルチピッチクラミング用は、シューズの型がかっちり決まった固い入れ物として強度を出すように作られている感じがします
マルチピッチクライミングでは長時間履き続けることになります
もし足の形と固い靴の型が合っていないと次第に痛みに悩まされることになります
サイズや幅の広さだけでなく、幅広い部分の位置(幅広の部位)がシューズによって違います
固いマルチピッチクラミング用シューズでこの幅広の部位が足に合ってことが重要なんですよ
今回はシューレースタイプ(靴ひもで締めるタイプ)のマルチピッチクライミング用シューズを比較したので、購入する際の参考にしてくださいね
TC プロと アスペクト プロを比較
| TCプロ | アスペクトプロ | |
|---|---|---|
| ① 幅広の部位 | 足中央側 | 足先側 |
| ② レザー生地の範囲 | 靴全体 | くるぶしの下まで |
| ③ スリング構造 | 細い | 太い |
| ④ ソール | 一体化 | セパレート |
| ⑤ 靴紐の調節 | やや難 | 容易 |
①幅広の部位
結局ここが一番重要
マルチピッチ用シューズは固いつくりになっているものが多いです
ソフトなつくりのボルダリングシューズであれば多少なら足と合わなくても履き慣らすうちにシューズの方が伸びたり広がって順応することもあります
しかし、固いシューズでは伸びたり広がることは期待できません
結果的に痛みの原因になります
したがって、自分の足の幅広い部分と一致していることが重要です
②レザー生地の範囲、③スリング構造、④ソール
靴の強度の作り方に製品のコンセプトが違います
靴全体をモノコックで固くしているのか、柔軟性を確保しながら強度も出せる構造なのか
⑤靴紐の調節
使い勝手の良さは大切なポイント
では、続きで細かく見てゆきましょう
2足のマルチピッチ用クラミングシューズを比較
私がマルチピッチ用として最初に購入したのはかの有名なLA SPORTIVAのTC プロでした
結局すぐに手放すことになりました
お店で試し履きの際は気になりませんでした
しかし、いざマルチピッチクライミングで使用してみると靴の中で小指の付け根の骨を固いもので押し付けられ続けて痛みました
とてもクライミングどころではありませんでした
2足目を購入するとき、お店で履き比べてよかったのがBlack Diamond のアスペクトプロでした
ここでは、シューズの形、構造の違いや使用感を私の感覚で比較して整理します
幅広の部位(外側のふくらみの部位)

外側のふくらみの部位に違いがあります!
サイズや幅の広さだけでなく、幅広い部位がとても重要です
固い靴なので、合わないと当たって痛みの原因になります
- TCプロ
-
外側の幅広い部位は、足の中ほどに寄っている
=>足指の付け根の外側が最も幅広い足の人では、当たって痛みの原因になる - アスペクトプロ
-
外側の幅広い部位は、足先によっている(指の付け根に近く)
アスペクトプロの方がどちらかというと足の先端に近い部分で幅広いのです
TC プロで足の外側にある小指の付け根近くが痛くなってしまう人は、アスペクトプロのほうが合っているかもしれませんね
生地


固さを維持する基本素材が覆う範囲に違いがあります
履き心地や足首の動かしやすさに影響すると感じます
- TCプロ
-
スエードレザー
足を入れるところまで全体に使用されている - アスペクトプロ
-
Ecco DriTanレザー
くるぶし近辺までのみ使用されているその部位から上はわらかい化繊素材が使用されている
スリング構造

素材が使用されている範囲やスリング構造の違いが見て取れます
アスペクトプロの方がスリング構造が太くしっかりしています
- TCプロ
-
かかとから土踏まずにかけてのラバーによるスリング構造はありますが細いです
このため靴全体を固くして剛性を出すタイプ(靴型が固い)のようです - アスペクトプロ
-
スリングショットエラスチックラバーが太くしっかり靴をバンドのように覆っています
フィット感とシューズ剛性を生みだす構造とのことです
=>靴型の固さだけに頼らない作りになっており柔軟性と入力時の剛性のバランスをとっているものと思われます
ソールの構造 一体型 vs セパレート


ソールにも違いがあります
モノコックのような全体で固めた靴にするのか、柔軟性を持たせているのかの違いです
- TCプロ
-
ソールは一枚で覆われている
=>固い靴 - アスペクトプロ
-
ソールは前後独立している
=>柔軟性も確保
靴紐の使い勝手


靴紐の調節のしやすさが全く違います
使いやすいのは圧倒的にアスペクトプロです
- TCプロ
-
生地に穴をあけて通しているだけです
抵抗が大きいので一か所ずつ紐で締めてゆく必要がある
あとから調節するのは難しい - アスペクトプロ
-
- 靴ひもを通すところは、生地自体ではなく専用の保持機構になっていて抵抗がすくない
- 靴紐自体に凹凸があるので締め上げてゆく最中にずれたりせず調節も容易
- 靴紐は横方向で折れかえり、素直に左右を寄せる
この3つの特徴により先端から甲までまんべんなく調節がしやすい
結論
私には、という条件付きですがBlack Diamond アスペクトプロがよかったです
私の足の形に合っていた
足指付け根近くの幅が広くて余裕を感じました
靴の作りが総合的に工夫されている
レザー素材が覆う配分や分離型のソールで柔軟性も確保し、入力時にはスリング構造で剛性を維持することで、総合的に快適かつしっかりとした靴として設計されているなのだと感じました
使用しやすい
そして靴紐の調節のしやすさは文句なしに良いです
締めるのも緩めるのもストレスなくできます
こういう使い勝手の良さのおかげで準備や再調整で焦らなくて済むため、本当にありがたみを感じます
マルチピッチ用クライミングシューズ(靴紐タイプ)
足の形に合っているシューズを選ぶのはもちろんですが、
サイズはすこし大き目にしておいた方が無難です(ゲレンデやボルダリングではありませんから)
極論すると
初中級者がマルチピッチクラミングを楽しむためには、長時間履き続けられるクラミングシューズであることの方が靴の性能以上に重要な要素なんです
痛みが出るようなシューズでは、マルチピッチクライミングはできませんからね
